慰謝料請求の回答書の文例・書き方
不倫が相手の配偶者にバレてしまうと、慰謝料請求の内容証明郵便が送られてくることがあります。
いきなり慰謝料請求に関する文書が送付されてきたら、どうしたら良いか分からず、焦りつつも放置してしまうことがあるかもしれません。
しかし、この場合、放置せずに何らかの対応を取る必要があります。
具体的には、請求内容に対して回答をする必要があるのですが、ご自身で回答書を書くことも可能です。
今回は、不倫慰謝料請求への対応方法から回答書の書き方、内容、注意点までわかりやすくご説明します。
目次
1.内容証明郵便が送られてきた場合の対応
慰謝料請求の内容証明郵便が送られてきたら、あなた自身も適切に対応をする必要があります。
慰謝料請求の書面がまれに普通郵便で送られてくることもありますが、基本的には配達証明がプラスされた内容証明郵便によるでしょう。
不倫慰謝料請求における内容証明郵便は、郵便局員による手渡しが原則です。
そのため、あなた自身か家族が直接受け取ることになります。
受け取ったら、すぐに内容を確認してください。
具体的には、以下の点につき確認する必要があります。
- 不倫の事実の有無や期間
- 慰謝料の請求額
- 支払い期限・回答期限
- 時効が過ぎていないか
まず、不倫の事実です。不倫の事実の有無についてはご自身が一番よく分かっているはずです。書かれている事実関係、期間や回数等が真実に合致しているかどうかを確かめましょう。
次に、慰謝料の額です。一般的に不倫慰謝料の額は50-300万円程度ですが、この範囲よりも不相当に大きい額が書かれていないかどうかをチェックします。
(支払いに関しては、この時点ではまだ支払い義務はありませんので、慌てて振り込まないようにしましょう。)
そして、内容証明郵便の内容として、慰謝料の支払い期限や文書に対する回答期限が書かれています。この日付は必ず確認するようにしましょう。
大抵は1週間から2週間程度の猶予があるはずですが、この期間があなたが対応すべき期間となります。
最後に、時効についてです。
不倫慰謝料請求は、不倫の事実と相手を知ったときから3年、または不倫の事実があったときから20年で時効にかかります。そのため、時効が過ぎている場合は、支払い義務はないことになります。
[参考記事]
不倫の慰謝料請求と消滅時効|3年前の浮気は慰謝料請求できる?
以上が、最初に確認すべきポイントです。
[参考記事]
不倫(不貞行為)に関する内容証明郵便が届いたら
2.不倫慰謝料請求に対する回答書
不倫慰謝料請求に対応するためには、回答書と呼ばれるもので返答するのが一般的です。
最善は、届いた内容証明を持って弁護士に相談に行くことですが、ご自身で回答書を作成することも可能です。
次に、その回答書の内容についてご説明します。
(1) 回答書とは?
回答書とは、内容証明郵便に書かれた要求や質問に対する答えを記す文書のことを指します。
簡単に言うと、「300万円支払ってください」に対し「不倫の事実はないため、支払えません。」などと回答・反論するための文書となります。このように反論を記載することも多いため、反論書と呼ばれることもあります。
先に少しお話ししましたが、慰謝料を求める文書に「○月○日までお支払いください」と書かれていても、まだこちらに支払い義務はありません。仮に不倫が事実であったとしても、減額交渉を行うことで減額できる可能性もあります。
回答書の送付に関しては、慰謝料請求が内容証明で送られてきた場合は、こちらも同様に内容証明にして、配達証明で送付日時、差出人、受領期日なども証明できるようにしておくことも多いです。
これにより相手からの「連絡がなかった」とする反論を防ぐことができます。
(2) 回答書の内容
では、回答書にはどのような内容を記載すべきなのでしょうか。
具体的には以下の内容が必要です。
- 不倫の事実があったかに対する回答
- 不倫の事実がある場合はお詫び
- 金額に対する回答
- 示談書に関する記述
まず、不倫の事実があった場合は、お詫びをしましょう。不倫の事実に相違がある場合には、ご自身が認識する回数・期間などを記述しても大丈夫です。
次に、金額に関する回答です。希望の金額が支払えない場合は減額してほしい旨を書きます。また、一度で支払えない場合は、分割の交渉をしても良いでしょう。
ここでは、減額してほしい事情も一緒に記載します。例えば、「最近転職したばかりで経済的に余裕がない」「給与が○○円しかなく、生活することも大変である」など具体的な理由を記述すべきです。
最後に、示談書に関する記述もします。今後のトラブルを防ぐためにも、示談書を作成したい旨を記述しておくと良いでしょう。
可能であれば、ご自身あるいは弁護士に作成してもらった示談書を添付しておきます。
3.回答書の書き方(テンプレート文例付き)
回答書についてご説明しましたが、実際に対応するためにはテンプレートを見て真似する方が早いかもしれません。
そこで、回答書のテンプレートと注意すべき点をご説明します。
(1) 回答書の文例テンプレート
回答書は、手書きでもタイプしたものでも問題ありません。
ただし、全く同じ文書ではなく、ご自身でも内容を書き加えるようにしてください。
特に、お詫びの内容は人それぞれだと思います。インターネット上にもさまざまな例文が紹介されていますので、それを参考にご自身で謝罪の文章を考えることをおすすめします。
自分の言葉で、真摯に・誠実に謝罪することが大切です。
また、「弁護士に相談するため、回答期日を遅らせたい」という場合は、以下のような回答例も有効です。
【回答期限を遅らせる場合】
「大変恐縮ではございますが、回答による齟齬などを防ぐため、弁護士に相談した上で適切に回答させていただきます。誠に勝手なお願いとはなりますが、○月○日まで回答の御猶予をいただけますよう、お願い申し上げます。」
(2) 自分で書くときの注意点
テンプレートを参考にするのは良いことですが、個別で事情が異なるため、その点は自分で考えて文書を作成しなければいけません。
その際、注意していただきたいことがあります。
- 期日を守る
- 感情的な内容を記載しない
- 言い訳を記載しない
まず、相手の要求する期限は守るようにしてください。最低でも1週間程度は猶予があるはずなので、この間に相手に対し回答書を送付するなどの対応をしましょう。
時間がない場合は、相手の電話番号やメールアドレスに連絡して期限を延ばしてもらいましょう。
次に、感情的な内容を記載しないようにしましょう。「私を愛していた」など記載すると、余計なトラブルを招きがちです。ご自身で反論することが難しいような事情がある場合は、専門家である弁護士に相談すべきです。
最後に、言い訳を記載しないようにしましょう。「あなたの夫にも責任がある」など、自分だけが悪者ではないような記述をすると、相手は気分を害します。
以上が、回答書作成の際に気をつけるべきポイントです。自己判断で思うがまま記載をした結果、不利な立場に置かれないよう、気をつけましょう。
4.慰謝料請求を無視したらどうなる?
最後に、相手からの慰謝料請求を無視したらどうなるのでしょうか。
慰謝料請求の内容証明郵便を受け取った方の中には、そのまま放置してしまう方もいます。いきなりお金に関する文言が書かれた文書が送られてきて、動揺して無視してしまうのでしょう。
しかし、これは絶対にやってはいけない対応です。そのまま放置していると、裁判を起こされる可能性が高くなります。
また、裁判所からの通知も放置していると、判決が下され額面通りの金額を支払わなければいけなくなります。
内容証明に対し、しっかりと対応していれば、慰謝料支払いを回避、あるいは減額できる可能性があります。
仮に内容証明の期限が過ぎて、放置している場合は、すぐにでも弁護士に相談してください。
5.不倫慰謝料請求をされたら弁護士に相談を
回答書の内容に四苦八苦される方も多いと聞きます。
「こんなことを書いて、交渉で不利にならないかな?」「不倫の回数は少ないのに、こんなに高額な慰謝料を払わなければならないの?」など、様々な疑問が湧いてくるでしょう。
不安に感じたら、弁護士に相談するのが一番です。
弁護士なら、相手方と連絡を取り、適切な金額に折り合いをつけることができるでしょう。回答書の書き方のアドバイスだけでなく、その後の示談交渉についてもサポートをすることが可能です。
不倫慰謝料請求の内容証明郵便が送られてきたら、泉総合法律事務所の弁護士に一度ご相談ください。