慰謝料

慰謝料が払えない!?高額な不倫慰謝料を請求されたときのポイント

不倫相手の配偶者から高額な慰謝料を請求されたら、どう対応すべきか分からないでしょう。
「借金でもしないと支払えない」「減額してもらいたい」「一括で払えないが分割なら払えそう」と考える方も多いはずです。

実際に不倫関係にあったならば慰謝料の支払いをしなければいけませんが、それでも、交渉次第では大きく減額できる可能性があります。
相手方も怒りのままに高額請求をしていて、実際の相場とかけ離れていることは多いです。

そこで今回は、不倫慰謝料で高額な請求を受けた場合の対処法をお伝えします。

1.慰謝料の支払い義務の確認

相手の配偶者から「不倫慰謝料を支払え」と言われたら誰でも動揺します。言われた通りに支払わなければいけないと感じる方も少なくないでしょう。

しかし、状況によっては支払わずに済むか、内容によって大幅に減額できるケースもありますので、冷静になって支払い義務や相場を確認すべきです。

まず、一般的に「不倫・浮気」といっても、どこからが不倫・浮気なのかの考えは人それぞれです。

例えば、異性とデートしただけでも不倫と考える方もいるかもしれません。また、手を繋いだ、キスをしたなど、肉体的接触があれば不倫と言えると考える方もいえるでしょう。

これを法的に考えると、慰謝料が請求できる不倫は、原則として「不貞行為」に限られます。
「不貞行為」とは、肉体関係があることを指すため、デートやキスだけでは慰謝料を請求するのは難しいのです。

プラトニックな関係であっても交際期間が長く、両者が結婚を意識していたなどの状況がある場合には、不貞行為に類する行為として慰謝料請求が認定される可能性もありますが、通常はデートだけ、キスだけでは難しいといえます。

そして、これは証拠がない状況でも同様です。実際に肉体関係があったとしても、相手が否定した場合、それを裏付ける証拠がない限り請求は難しくなってしまいます。証拠は相手が否定した場合にこそ必要なものです。

このように、もし指摘された関係が肉体関係を伴っていない場合には、支払わずに済む可能性が高いです。また、肉体関係を伴ったという証拠がない場合にも、支払わずに済む場合もあります。

[参考記事]

LINE・メールだけの関係!肉体関係なしの浮気の慰謝料請求は可能?

【不倫相手と既婚者は共同不法行為者】
不倫慰謝料を請求された場合、「なぜ自分だけ?」と疑問に感じる方も多いでしょう。
実際のところ、慰謝料の支払い義務があるのは、不倫関係にあった両当事者となります。つまり、既婚者と交際した方の責任だけではないということです。
民法上、不貞行為を行った双方が共同不法行為者となり、どちらかが全ての責任を負った場合には、もう一方に対し求償権を行使することができます。具体的には、不貞行為について100万円の責任があり、どちらかが全額支払った場合は支払った人が支払っていない人に対し50万円を請求できる可能性があるということです。
しかし、実際上は示談の際に求償権を行使されないように、求償権の放棄等を示談書の内容に盛り込むこともあります。
参考:不倫相手の求償権|行使されたらどうする?放棄させることは可能?

2.請求された慰謝料が高額で払えない場合

次に、具体的な交渉方法についてご説明します。減額交渉と分割交渉について見ていきましょう。

(1) 減額交渉

不倫慰謝料を請求する場合、最初に提示される金額は相場よりも高額であることが多いといえます。

これは、請求する際に弁護士が関わっておらず相場を理解していないか、相手方が怒りに任せて高額な請求をしているのです。

高額な慰謝料に対して、請求された側は必ずしも支払いに応じる必要はありません。
十分に反省していることを見せたいために、要求された金額に応じてしまう方がいらっしゃいますが、現実的に支払えない金額ならば即断で示談をするのは避けるべきです。

請求された金額に対しては、減額交渉することが可能であると覚えておいてください。

しかし、減額してもらうにしても、どのような事情を持って減額できるのかが気になる方も多いでしょう。

具体的には、不倫の期間や回数、請求者側の婚姻期間や夫婦関係の状況(別居していたなど)、肉体関係がなかった、既婚者だと知り得なかった、などの事情です。
詳しくは、以下のコラムでご確認ください。

[参考記事]

不貞行為の慰謝料相場の判例を解説

基本的には、不倫関係がどれくらい夫婦関係に影響を与えたかが鍵となります。

不倫によって離婚してしまった場合には、やはり婚姻関係を直接破壊してしまったのですから増額事情として働きますが、逆に離婚をしない場合にはそれほど影響がなかったといえ、減額事情として利用できます。

このように、まずは減額できる事情がないかを考え、減額交渉をしていくことが大切です。

(2) 分割払い

請求された金額としては大きくないものの、一回で支払うのは厳しいというケースもあるでしょう。
この場合は、減額交渉だけではなく分割交渉も併せて行うことも可能です。

慰謝料というものは、性質上、基本的には一括払いを求められるのが一般的です。裁判所が判決を下すときは一括払いです。

判決以外では必ず一括でないといけないというルールはないのですが、精神的苦痛に対する損害賠償ということで、一回で終わりにしたいと思うのが通常であるためです。

また数回に分けると、未払いのリスクを請求者が抱えることになるため、分割払いを避ける傾向にあるのです。

しかし、相手方が請求金額にこだわる場合には分割支払いの交渉の余地があります。どうしてもその金額を支払って欲しい場合は、分割でも支払って欲しいと考えるためです(そうでなければ、減額交渉に応じる可能性が高いでしょう)。

このように、一括払いではなく分割払いの交渉をするという方法もあります。

3.減額・分割交渉の際のポイント

減額交渉、分割交渉をする場合、気をつけるべきポイントがあります。

最後に、交渉に成功できるよう押さえるべきポイントを知っておきましょう。

(1) 支払えない理由や具体的な金額、期限など伝える

高額な慰謝料を請求された場合、ただ「支払えません」「お金がないです」と伝えてしまう方は多いといえます。
しかし、それだけだとそもそも払う意思がないと捉えられてしまいます。まず前述のように、当初の請求額はそもそも裁判例に比べて高額であることが多いので、法的な観点から減額交渉をしましょう。

そして、仮にその金額が法的に正当な金額で、分割であれば支払えるような場合には、相手に対してはきちんと一括で支払えない理由を説明する必要があります。

例えば、「給料が手取りで15万円程度しかなく、預金もほとんどない」「現在無職で資産もほとんどなく、就労は来月からだ」という状況であれば、200万円の慰謝料を一括で払えないことは明らかです。

つまり、支払えない状況を具体的に相手や相手の弁護士に伝えることが重要なのです。

また、正当な金額だったとしても、請求者としては訴訟まで行って回収するのは手間や費用が掛かります。そうすると、わずかであれば減額できるかもしれません。減額した金額であれば支払う意思がある場合は、「150万円に減額していただければ分割で支払えます」と具体的な金額・方法を明示しましょう。

また、「○月◯日までに合計5回で支払います。」など具体的な期限・期間なども明示しておくと良いでしょう。

このように、ただ「支払えない」「お金がない」というのではなく、きちんと具体的な理由を伝えることで相手も納得しやすくなります

また、いくらならば、いつまでならば支払えるのかということをこちらから提示していくことにより、分割交渉をスムーズに進めていけます。

(2) 不倫があったなら誠意をもって謝罪をする

相手は怒りのせいで高額な慰謝料にこだわってしまうこともあります。「相手からの謝罪もない」ということに怒っているケースは少なくないのです。

減額交渉をする場合、不倫があったならばきちんと謝罪をしましょう。誠意をもって対応すれば、減額を受け入れてもらえる可能性もあります。

もっとも、やってもいないことまで謝る必要はありません。肉体関係がなかった場合や過失なく既婚者だと知らなかったなどの事情がある場合は、その旨も文書等で説明した上で、誤解を招いてしまったことに対し謝罪すべきです。

このように、誠意をもって対応することが減額に繋がることもあるということを理解しておきましょう。

(3) 交渉が難航したら、弁護士に依頼すること

自分で交渉を続けてきたものの、なかなか話が前に進まないということはよくあります。

この場合は、専門家である弁護士に相談しましょう。弁護士に依頼すれば、交渉がスムーズに進むだけでなく、相場に基づいた慰謝料額に減額をすることができます。

あなたが依頼した弁護士は100%あなたの味方であるため、少しでも有利になるように交渉を進めてくれるでしょう。

また個人間で示談交渉をしていると、二次トラブルに発展することも往々にしてあります。「支払わないなら家族に不倫をバラしてやる」と脅されたり、支払ったのにも関わらずまた要求されたりするなどです。

このような問題には法的対処を持って毅然と対応する必要があります。
また、示談書がきちんとしたものであれば、特に後者のようなトラブルは未然に防ぐことができるのです。

弁護士に示談を任せれば、二次トラブルを防ぐことは可能です。特に後者のようなトラブルは起きたとしても、示談書があるため、法的対処が可能となります。

このように、交渉が難航したら弁護士に相談すべきです。間に専門家を挟むことでお互いに冷静になり、示談成立のスピードも早まるでしょう。

4.不倫慰謝料を請求されて払えない場合は弁護士に相談を

不倫慰謝料を請求されたものの高額すぎて支払えない場合は、適正な手法や適正な法的主張により、減額交渉をしましょう。相手の言い値で合意をしてその後滞納をしてしまうと、最終的に強制執行をされて財産などを差し押さえてしまう危険もあります。

しかし、自分で交渉するのが難しいと感じる、相手とコンタクトをあまり取りたくないというケースもあるでしょう。

この場合は、弁護士に相談してください。弁護士なら、相場に基づいて適切な減額交渉が可能です。

不倫トラブルは早めに解決することが大切ですので、お早めに泉総合法律事務所の無料相談をご利用いただければと思います。

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