法律上の不倫(不貞行為)とは

法律上の不倫(不貞行為)とは

現代社会において、不倫や浮気と言う言葉は日常的に大変よく使われますし、最近では芸能人などの著名人の不倫がワイドショーや女性雑誌・写真誌を賑わせています。

でも、この不倫ですが、配偶者のある男女がどのような行為を行えば法律上の不倫となるのでしょうか。

一緒に食事を行うことやキスをしただけでも不貞行為になるのでしょうか。

結論から申し上げますと、そのような行為だけでは不貞行為にはあたりません。

最高裁判所の判例によりますと、「不貞行為」とは、「配偶者のある者が、配偶者以外の異性と、自由意思で肉体関係をもつこと」とされています。

以下では、最高裁判例の立場に沿って、不貞行為となる場合のポイントについて述べてみます。

(1)配偶者のある者

まず、「配偶者のある者」とは、婚姻届を提出して婚姻関係にある者はもちろんですが、内縁関係にある者もこれにあたると解されています。

この内縁関係とは、男女が夫婦として生活する意思及びその実質を有しているにも関わらず婚姻届を提出していない状態のことを言います。

したがって、法律上、籍を入れていないからと言って、不貞行為にあたらないとは言えないので、注意が必要です。

また、同様に、婚約関係にある男女も、将来婚姻することを約束しているので法的保護に値し、婚約者以外の異性と肉体関係を持つと、不貞行為にあたることになります。

(2)自由意思で

ここに「自由意思」とは、端的に言えば、他者からの圧力・干渉を受けないで、自らの自由に決するところによりという意味となります。よって、脅迫されて肉体関係をもった場合や、女性が強姦された場合など性犯罪の被害にあって肉体関係をもった場合は、不貞行為は成立しないことになります。

(3)配偶者以外の異性と

配偶者以外の「異性」ということですので、同性愛は含まれないことになります。

よって、同性と親密な関係になったとしても、不貞行為は成立することはありません。

(4)肉体関係を持つこと

上記判例は、不貞行為の損害賠償が認められるためには、男女の肉体関係、いわゆる性交渉が必要であると判示しました。

もっとも、これは、昭和54年の判例ですから今から40年近く前の判例です。最近の下級審の裁判例では、結果として、より広く損害賠償責任を認める傾向にあります。

たとえば、下級審の裁判例によれば、病気で性的不能の場合で男女間に性交渉がなくても下着姿で抱き合う行為に損害賠償責任を認めた裁判例、合理的理由なく継続的にラブホテルを利用した行為に損害賠償責任を認めた裁判例があります。

このような裁判例の立場からすると、不貞行為(不法行為)とされるためには性交渉が必須であるという考え方は、現在採られてないものと思われます。

要するに、他方配偶者の婚姻共同生活の平穏を棄損する行為か否かの観点から判断されていると言ってよいと思われます。

当事務所でも、不倫慰謝料を請求した場合、ご年配の男女の皆様より、「ラブホテルに行ったが性交はしていない。」という主張がなされることが多々あります。

しかし、そのような場合でも、上記裁判例の立場を背景に、交渉のテクニックを駆使して、比較的高額な慰謝料の獲得に成功した例は少なくありません。

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