離婚しない場合、する場合の不倫慰謝料相場
配偶者に不倫された側は、配偶者に慰謝料請求をするだけでなく、離婚請求をすることも可能です。
実は、不倫相手や配偶者に対し慰謝料請求したい場合、離婚するかどうかによって金額に違いが出てきます。
今回は、離婚する場合と離婚しない場合の不倫慰謝料の相場について解説します。
目次
1.不倫慰謝料の基本
不倫慰謝料を請求できるのは、不倫があったことが証明できる場合です。そして、法律上不倫があったといえるのは、不倫が「不貞行為」に該当する場合のみです。
不貞行為とは、配偶者以外の人と肉体関係があったことを指します。デートやハグ、キスだけなど、肉体関係のない場合は原則として不貞行為とはいえないため、慰謝料請求は難しいでしょう。
これ以外にも、慰謝料請求をするためには、不倫時に婚姻関係が破綻していなかったことが重要です。婚姻関係の安定・平穏という守るべき婚姻関係がなかった場合には、不貞行為によってこれが破壊されたとはいえないからです。
[参考記事]
婚姻関係の破綻とは|不倫慰謝料が支払われない?
そして、不倫慰謝料を請求できる場合、その最終的な額を決めるためには様々な事情を考慮しなければいけません。
具体的には、不貞行為によって離婚するか否かだけでなく、不倫の期間、回数、不倫時の夫婦関係、婚姻期間の長さ、子どもの有無、慰謝料を請求する相手の収入・地位などを考慮して精神的苦痛の度合いを判断し、金額に反映します。
例えば、不倫していた期間が2年の場合と1度きりの関係では、浮気された配偶者の精神的苦痛の度合いは異なります。2年の場合の方が重く考慮するべきだと考え、慰謝料は増額事情として働きます。
他の事情も同様で、婚姻期間が長い、子どもがいる、離婚するという場合には、婚姻関係に対する影響と精神的苦痛の度合いが大きいため、慰謝料は増える事情として考慮できます。
2.離婚する場合の慰謝料相場
では、まずは離婚する場合の慰謝料相場はいくら程になるのでしょうか。
不貞行為があっても離婚しない場合、不倫相手に請求できる一般的な慰謝料の相場は100万円〜300万円です。
もっとも、先述の通りその他の事情も考慮されますので、これ以下・以上の金額になることも十分に考えられます。
不倫慰謝料に相場はありますが、確定的な額はありません。最終的にはお互いが話し合い、合意した額で決まると理解しておくべきです。
3.離婚しない場合の慰謝料相場
不倫されたとしても、「離婚するかどうか」で迷う方は非常に多いです。離婚してもその後の生活に不安があるケースや、子どもとの関係を考えるならば離婚しない方が良いと考えるからでしょう。
「離婚しない」というのも1つの選択肢です。離婚しない場合でも不貞行為によって精神的苦痛を被ることには変わりないため、問題なく慰謝料請求は可能です。
不倫慰謝料は、浮気をした配偶者と不倫相手の両者に請求可能です。ただし、離婚しない場合には浮気した配偶者と家計が同一となってしまいますので、配偶者に慰謝料請求しても意味がありません。そのため、現実的な選択肢としては、不倫相手のみに慰謝料請求をするということになるでしょう。
ただし、離婚しない事実は慰謝料額に影響します。
不倫慰謝料相場としては、50万円〜200万円程度になるでしょう。
しかし、これもあくまで相場ですので、考慮すべき事情で増額・減額事情として判断できることがあれば金額は変わります。
[参考記事]
不貞行為の慰謝料相場の判例を解説
4.離婚後の慰謝料請求
「結婚している間に不倫していたことが離婚後に判明した」
「離婚後に不倫慰謝料を請求すべきだと思った」
というケースでは、不倫で離婚した後に慰謝料請求をしたいと考えることもあるでしょう。
(1) 離婚後の不倫慰謝料請求は可能
結論から言うと、離婚した後でも慰謝料請求は可能です。
ただし、離婚後の慰謝料請求は、以下の理由から請求が難しくなることもあります。
- 証拠を確保するのが難しい
- 時効が経過している可能性
- 離婚合意書に「慰謝料請求しない」と記載している可能性
まず、不倫から時間が経過していれば、証拠を見つけることが難しくなります。
離婚した相手が不倫を認めている場合は良いですが、そうでない場合には、ラブホテルに出入りする写真や性交渉があったことを示すメッセージのやり取り、性交渉の動画や写真など、不貞行為があったことを示す証拠を見つけなければいけません。
[参考記事]
不倫の証拠集め|難しい不貞行為の立証のために重要なこと
また、時間が経過すれば時効が成立します。不倫が原因で離婚した場合の時効は「離婚から3年」であり、離婚後の不倫が判明した場合は「知った時から3年」となります。また、不倫の事実から20年経てば請求はできなくなります。
[参考記事]
不倫の慰謝料請求と消滅時効|3年前の浮気は慰謝料請求できる?
更に、離婚時に離婚合意書や公正証書を作成した場合、これらの文書には「これ以上の請求をしない」と慰謝料請求を放棄する旨の文言が記載されているのが一般的です。離婚前から不倫の事実を知っていてこれに合意している場合、請求は難しいでしょう。
(2) 離婚後に請求する場合の不倫慰謝料相場
では、離婚してから不倫慰謝料請求をする場合、慰謝料はどれくらいの額になるのでしょうか?
離婚後の請求であったとしても、基本的には先述の「離婚する場合」の慰謝料額と同額が相場となります。つまり、100万円〜300万円が相場となるでしょう。
なお、請求に証拠は必須ですので、見つけるのが難しい場合には探偵を雇うなどの工夫も必要です。
5.不倫慰謝料の請求は弁護士にご相談を
不倫慰謝料を請求するなら、まずは弁護士にご相談ください。請求できるかどうか、請求のためにはどのような証拠が必要か、慰謝料金額の目安などについて、個別事情を踏まえてアドバイスいたします。
弁護士が相手方と交渉をすれば、ご希望通りに解決できる確率は飛躍的に上がります。
不倫慰謝料請求をするか迷っている場合でも、弁護士から話を聞くことで決断できることは多いです。時効が完成する前に、どうぞお早めにご相談ください。