高額な慰謝料請求や理不尽な要求をされたら
たとえば、請求された慰謝料額が、500万円ならまだしも、500万円を大きく超える金額を請求されるケースがあります。
通常の不倫慰謝料額は、高くても300万円から400万円程度が上限ですので、特別な事情がないかぎりそのような請求は高すぎると言えます。
また、請求者より、不貞相手に対し、職場不倫の場合など転職を強要されるケース、ご近所さんと不倫をした場合に引越しを強要されるケース、勤務先や親にばらすと言われるケース等もあります。
このような不合理な要求を受けた場合、慰謝料を請求された側としては、どのような対応をとったらよいか、説明していきたいと思います。
目次
1 刑法犯の成立の可能性が考えられるケース
- 勤務先に不貞の事実を告げる郵便やメールを送付された場合、自宅周辺に不貞の事実等を記載したビラをまかれた場合等
当該ケースでは、名誉棄損罪、侮辱罪等の成立可能性がありますので、専門家である弁護士に相談して、刑事告訴等の手続を検討すべきです。 - 慰謝料〇〇〇万円を支払わなければ、不貞の事実を会社にばらす、奥さん(夫)にばらす等の要求があった場合
当該ケースでは、脅迫罪・恐喝罪等の成立可能性がありますので、専門家である弁護士に相談して、刑事告訴等の手続を検討すべきです。 - 拒絶しているにも関わらず自宅に押しかけられ、勝手に門扉を開けられ住居内に侵入された場合
当該ケースでは、門扉をくぐった段階で、玄関等が施錠されており開かなくても、住居侵入罪、不退去罪等の成立可能性がありますので、専門家である弁護士に相談して、刑事告訴等の手続を検討すべきです。
上記の場合は、刑事告訴以外にも、弁護士に相談して、警告文を送付することも可能です。
また、上記のような行為があった場合には、逆に相手方に対して、損害賠償を請求したり、相手方からの慰謝料請求の減額事由(過失相殺)として主張していくことも可能です。
すぐに、専門家である弁護士に相談するのが得策であるといえます。
2 社内不倫の場合に、転職を強要されるケース
職場不倫の場合に、執拗に、退職や転職を迫られるケースも、度が過ぎると、脅迫罪、強要罪の成立可能性があると言えます。
たとえ職場不倫であったとしても、不倫慰謝料請求の問題は、本来は、当事者同士で金銭の賠償をもって解決するのが基本となりますので、基本的には、会社を退職する必要はないことになります。
請求者の要求に応じて退職や転職を行ったケースでは、慰謝料の減額事由として主張していくことが可能となります。
3 社内不倫の場合に、その事実を会社の上司等に告げられるケース
社内不倫とはいえ、不倫のような男女間の個人的な問題を、会社が管理・監督して防止すべき直接の義務があるかといえば、社内不倫を明文で禁じた就業規則等が存在しない限り、なかなか困難なものと考えられます。
よって、会社の上司等に不倫の事実を告げることが必ずしも正当化されるとはいえないものと思われます。
不倫の事実を告げられた結果、会社を退職に追い込まれたなどの事情がある場合には、不倫慰謝料の請求者への別途損害賠償が可能となるケース、慰謝料請求の際に減額事由(過失相殺)として主張していくことが可能となるケースも、存在するものと思われます。
4 実家の親に不倫の事実を告げられるケース
請求者より、不貞相手の親御さんに伝えるからと主張されるケースも存在します。
不貞相手が未成年者である場合には、親権者である親御様に請求していくことは正当化される可能性がありますが、そうでない場合は、親御様に告げられるのは不当な行為であるといえます。
よって、この場合も、損害が発生した場合には、損害賠償を別途請求できるケース、不倫慰謝料の請求に際しての減額事由(過失相殺)として主張していくことが可能となるケースも、存在するものと思われます。
5 結語
不倫慰謝料の請求に際し不合理と思われる要求があった場合には、ぜひ、弁護士に相談し、適切な対応を依頼することが得策であると言えるでしょう。
結果として、相当額の慰謝料額の減額が可能となる場合があります。