産後に不倫をしてしまった。慰謝料請求された夫の対処方法
妻の産後に不倫に走ってしまう男性は実は多いといわれています。
「子どもが生まれたばかりなのになぜ?」と周囲が首を傾げてしまうような話はよく耳にします。
仮に、男性側が産後不倫をしてしまった場合には、その後どう対応していけば良いのでしょうか?
今回は、産後不倫について解説します。
目次
1.産後不倫が多いといわれる理由
妻の産後に不倫に走る夫は多いといわれていますが、これは本当でしょうか?
平成28年の全国ひとり親世帯等調査結果報告では、生別した際の末子年齢に対する統計結果が報告されています。
これを見てみると、母子世帯になった時の末子の年齢では、「0-2歳」が一番多く39.6%という結果でした。父子世帯の場合は、「3-5歳」の27.5%が一番多く、続いて「0-2歳」で21.9%という結果です。
母子家庭では「0-2歳」で離婚などの生別した人が一番多いという事実や、父子家庭でも「0-5歳」までの生別が多い事実を考えると、産後に離婚の危険が高まっているという結果があるようです。
この結果からは不倫が原因かどうかはわかりませんが、不倫が離婚理由のトップ3に入ることから異性関係を理由に離婚する方も一定数いると考えられます。
産後に不倫をしてしまう理由としては、「産後クライシス」が原因でないかということが指摘されています。
産後から子どもが2歳になるまで、夫婦のお互いへの気持ちが急速に下がってしまうという研究結果があり、これが原因で不倫してしまうことが多いと考えることができます。
より具体的には、妻の夫への愛情の低下が理由となることが大きいといわれています。産後のホルモンバランスの低下や育児の大変さで夫への愛情が薄れてしまうのです。
これに対し、夫は育児に翻弄される妻を支えることで相手を母親として認識することになります。
ただし夫の性欲が低下することはないため、セックスレスに不満を持ち他の異性との関係に走ってしまうという現象が起きるのです。
このように、産後は離婚する危険が高まる時期であり、産後クライシスにより不倫に走る男性が増えるといわれています。
参考文献:平成28年全国ひとり親世帯等調査結果報告
2.産後不倫の末路
産後に不倫してしまうと、その後の末路は悲惨です。
仮に妻に不倫がバレてしまったら以下のようなリスクが現実化します。
- 離婚
- 慰謝料を請求される
- 子どもに会えない(面会交流権が適切に実施されない)
先に統計で見たように、子どもが2歳までに離婚する方は多いことがわかっています。不倫が発覚すれば離婚の危険が伴うのです。
離婚する際には、妻側もできるだけ生活費を工面したいことから慰謝料を請求する可能性が高いでしょう。仮に離婚しなかった場合でも、関係を終了させるために不倫相手に慰謝料を請求するというケースも想定できます。
さらに離婚の際、夫が親権を獲得することは難しくなります。妻が養育できないとするよほどの理由がない限りは、親権を妻が持つ可能性は高まるためです。
[参考記事]
不倫が原因で離婚した場合の親権の行方
面会交流権は法律上保障されていますが、不倫の恨みから面会交流が適切に実施されず、子どもに会えないという事態を招いてしまう可能性は十分にあるでしょう。
以上から、産後不倫がバレてしまうと最悪の事態に発展する可能性があります。
3.出産直後に浮気が発覚した旦那(夫)側の対応方法
すでに不倫が配偶者にバレてしまった場合は、きちんとした対応が必要となります。
妻への謝り方と、その後の生活で気をつけるべきことについてご説明します。
(1) 妻へは誠実に謝る
「産後に不倫してしまい、妻にバレてしまった…。どう謝れば許してもらえるのだろうか?」
このような不安や疑問を持っている方は珍しくありません。
不倫が発覚した場合の正しい対処法としては、まず妻に対し誠実に謝ることが重要です。
「どうやって謝るのが適切か?」と謝る際のセリフなどにこだわる人もいますが、細かいことは関係ありません。ただ誠実に謝り続けるしか方法はないのです。
何度も謝っているのに許してくれない、妻の態度が冷たいままで変わらないというケースもあります。
しかし、できることとしては「浮気の恨み節を言われたら謝る」を繰り返すしかないのです。
(2) 不倫関係はすぐに終わらせること
また当然のことですが浮気がバレたら、即座に不倫関係を終わらせるようにしましょう。
相手に「妻にバレたので不倫はやめる」と宣言し、一切の連絡を断ってください。
妻が望むならスマホを監視することを許すことも考えてください。妻を不安にさせないためにできることは全て行うようにしましょう。
相手のためにできること、自分が浮気されたらどうしてほしいかを考えて行動することが大切です。
(3) 夫婦としてのコミュニケーションを忘れない
妻がある程度許してくれるようになったら、妻とのコミュニケーションをできるだけ多く取るようにしましょう。
セックスレスなどの問題を抱えているかもしれませんが、相手が拒絶している場合は求めないことが大事です。
育児、家事を積極的に行うことも重要です。
子どもが生まれたばかりの時期は毎日が戦争です。妻は大変な時期に浮気した事実を一生覚えていますし、ふと頭を過ぎる不倫のことで余計に心が重くなってしまうこともあるでしょう。
少しでも心の負担を軽くしてあげるためには、育児、家事を最大限行うことが重要です。生活の負担を軽くすることができれば、その分相手を許す気持ちの余裕も出てきます。
絶対に効果的な方法というものは存在しません。しかし、できる限り誠実に対応していくことで時間の経過とともに許してくれる可能性は高くなります。
4.産後不倫で離婚する場合
産後不倫で離婚する場合、慰謝料はどれくらい支払うことになるのでしょうか?
また、産後不倫のケースを弁護士に依頼すべき理由についてもご説明します。
(1) 産後不倫の慰謝料額
不倫がバレてしまい夫婦関係の修復が難しいと考える場合、頭を過ぎるのは「不倫慰謝料を請求されるのではないか?」という心配です。
実際にどれくらいになる可能性があるのかを知っておけば心の準備も少しはできるでしょう。
一般的な不倫慰謝料の相場は、50万円〜300万円といわれています。産後不倫を理由に離婚する場合の慰謝料もこのくらいの金額になると考えて良いでしょう。
かなり幅が広くなっていますが、これは考慮すべき事情がたくさんあるためです。具体的には、不倫の期間、回数、不倫相手の妊娠の有無、婚姻関係の長短、子どもの有無、不倫前後の夫婦関係、支払う側の収入、資産、などが挙げられます。
産後不倫の場合は、子どもがいるということ、離婚するという事実がある前提で考えると慰謝料は多額になることが想定できます。
もちろんこの他の事情も影響するため、一度きりの不倫だった場合などはそれほど大きな金額にはなり得ないと考えますが、個別事情を聞いてみないことには判断するのが難しいともいえるでしょう。
[参考記事]
不貞行為の慰謝料相場の判例を解説
(2) 産後不倫をした場合は弁護士に依頼すべき
産後不倫のケースは、弁護士に相談しアドバイスをもらうべきです。というのも、不利な場合があり、専門家をきちんと挟んだ上で減額交渉を進めていく必要があるためです。
具体的には、以下の理由から不利になる可能性があります。
- 子どもができてすぐに不倫は印象が悪いため増額事情として働く
- 離婚後、子供に会えなくなってしまう可能性がある
- 証拠がある場合は極めて不利
子どもができてすぐに不倫したというのはよくあるケースですが、印象としてはかなり悪くなります。セックスレスがあったとしても産後という事情があるため、不倫の責任は完全に夫側にあります。したがって、慰謝料を増額すべき事情として働く可能性が高いでしょう。
また、妻が不倫について恨んでいる場合も少なくありません。きちんとした離婚条件をまとめずに離婚してしまうと、「養育費を支払っているのに子どもに会えない」という問題に発展しかねません。専門家を挟んで冷静に今後のことを決めていくべきです。
不倫慰謝料請求のすべてのケースに当てはまりますが、相手が不倫の証拠を掴んでいる場合には極めて不利な状況に追い込まれます。証拠がなければ請求が難しいケースもありますが、ラブホテルの現場の写真を撮られているケースなどではこちらの反論が認められない可能性も高いでしょう。
このような不利な状況が考えられるため、少しでも減額できるようにするためには専門家である弁護士に依頼すべきです。
夫婦間の話し合いでは冷静になれずなかなか離婚条件をまとめられないことも多いですが、弁護士が間に入ると話も早く進んでいく可能性が高まります。慰謝料が必要以上に多額にならないようにするためにも弁護士に相談することを検討してください。
5.産後不倫で慰謝料請求をされたら弁護士に相談を
産後不倫で慰謝料請求を受けてしまったら、弁護士に相談しましょう。相場以上の過大な慰謝料を支払わずに済むよう、減額交渉を有利に進めることができます。
不倫から離婚に発展しそうなときは、離婚条件なども含めて慰謝料に関する話し合いを一緒にしていくことで最終的に支払う額を少なくすることもできます。
不倫慰謝料にお悩みの方は、ぜひ泉総合法律事務所の弁護士までご相談ください。不倫慰謝料請求に強い弁護士が早期解決に導きます。